青年技能者技能競技大会
今年も第32回 表装美術展に併せて行われる「第30回 青年技能者技能競技大会」に作品を出品します。
今年の課題は色紙程の大きさの和紙に書かれた絵手紙で、訓練校の本紙と同じ人が描いたものです。昨年は8/13〜8/18の盆休みを利用して作りましたが、今年はなかなか時間が取れず、デザインを決め、裂の裏打をしたままで、今日まで付け廻しと総裏を打つ事が出来なかったんです。
本紙の絵は茶花としても好まれる椿で、この花を見るといつも心が凛とする
という言葉が添えられていました。そこで、氷重ねに近い冬の取合せで、濃茶席にも掛けられる様式の軸に仕立てることにしました。今年も正統派の掛軸で勝負します。
付け廻しの手順を簡単に説明しますね。
- 裏打をして仮張りに掛けていた本紙を外し、四隅が直角になるように余分な部分を切り落とします。
- 一文字用の金襴を仮張りから外して模様が揃うように裁断し、切り口を糊止したら、水平になるように注意して上下とも本紙に表付けします。
- 貼り付けたら上下は中廻の貼りしろを残して、幅は本紙の幅に合わせて切り取り、糊止をしておきます。
- 中廻用の裂を仮張りから外し、左右の柱を模様が揃うように裁断したら、切り口を糊止して表付けします。
- 貼り付けたら上下は中廻の貼りしろを残して切り取り、糊止をしておきます。(左右はそのままで構いません)
- 中廻用の裂の残りを模様が揃うように裁断したら、切り口を糊止して一文字と平行になるように上下に表付けします。
- 貼り付けたら、天地の貼りしろを残して上下を切り取り、糊止をしておきます。(左右はそのままで構いません)
- 天地用の裂を仮張りから外し、糸目が揃うように裁断したら切り口を糊止めして、中廻の上下と平行になるように上下に表付けします。
- これで形が出来上がりましたので、表具の幅を決めて星突で印を付けます。(この時、耳折の折りしろにも印を付けます)
- 印を付けたら裏返し、耳折の折りしろに星突で線を引き折り癖を付け、折りしろを残して左右を切り落とします。
- 耳折の折りしろに糊を付けて貼り付ければ、付け廻しの工程は終了です。
付け廻しが終わりましたので、次は総裏です。総裏の手順は昨年と同じですので、詳しくは昨年の8月18日の日記を御覧下さい。(ちなみに昨年の作品の付け廻しは今年と様式が違いますので少し複雑でした。詳しくは昨年の8月17日の日記を御覧下さい)
総裏も打ち終わり仮張りに掛けましたので、後はじっくりと乾燥させて最後の仕上げを待つばかりです。暫くは天気予報から目が離せません。
実は……
裂の裏打ですが、肌裏を打っただけで増裏をまだ打っていなかった事をすっかり忘れていて、付け廻しを始めちゃいました。
裂の手触りが妙に軟らかいのでちょっとおかしいなぁとは思ったのですが、気付いた時には既に中廻を付けた後だったのでどうする事も出来ず、最後までそのまま仕上ちゃいました*1。
軸の仕上がり寸法が小さいのでおそらく影響が少ないと思いますが、裏打紙の方向が縦だけなので、もしかしたら暴れる可能性があります。そうなったら、総裏と上巻だけをはがして美栖を横に打ち直さなければなりません*2。
暴れないように十分に乾燥させ、搬入日直前に仕上るか、万が一に備えて美栖を打ち直す為に、余裕を持って1週間前までに仮張りから外すか、ここが思案のしどころです。