研修所2日目

今日のメインイベントはベンチャー章課題「1泊単独キャンプ」の体験*1ですが、それまでは室内での研修が中心です。
本日の個人目標:睡魔との戦いに勝つ精神力を養う!
起床時刻は6:00(炊事当番は5:30)です。炊事当番が朝食を作っている間に残りの人でテントと寝具の乾燥作業など、基本的な日課をこなします。朝食後、サイト内の整理と報告書の作成をし、制服に着替えて点検を待ちます。点検を受けている間に各自の健康状態などのチェックがあります。点検終了後は広場に集合して講評を受け、改善すべき点と、他チームから見習うべき点を聞いてサイト改善の参考にします。
点検講評後は朝礼です。ボーイ隊までは指導者が司会進行を務めますが、ベンチャー隊以上は、スカウトが企画し司会進行を務めます。(国旗掲揚は朝礼で行います)
朝礼の後、宗教儀礼(スカウツオウン)があります。ボーイスカウトでは、加盟員がそれぞれ明確な信仰をもつことが奨励されています。宗教と聞くと身構えてしまう人も居ると思いますが、ボーイスカウトが奨励するのは特定の宗教ではなく、個人の信仰心です。ボーイスカウト運動は「ちかい」と「おきて」の実践を基盤として、成人指導者の協力により一貫したプログラムによって、社会に奉仕できる能力と人生に役立つ技能を体得し、かつ、誠実、勇気、自信及び国際愛と人道主義を把握・実践できるよう教育する事を目的としています。「ちかい」と「おきて」の実践は明確な信仰心の上にこそ成り立つものなんです。
朝の日課(?)が終わったので、いよいよ2日目の講義が始まります。今日は昼食(お弁当)を挟んで6つのセッションが行われました。

青少年の理解(§VS01)

支持待ちタイプが多いと言われている最近の高校生ですが、当然、彼らなりに色々な事を考えています。それを上手に引き出してあげる事が出来れば、『支持待ち』から『自発活動(やる気)』へと導いて行けます。その為には、彼らと本音の付き合いが出来なければいけないし、彼らの考えを知る事が指導者の務めです。

進歩制度と隊の運営(§VS02)

シニアー隊からベンチャー隊に移行した時に大きく変わったのが進歩制度です。以前は、シニアー章 → 隼章(はやぶさしょう) と進級し、最高到達点として「富士章」がありましたが、ベンチャー隊に移行後は ベンチャー章 → 富士章 となり、富士章取得後のプロジェクト挑戦が奨励されています。富士章が最高到達点ではなく、ベンチャー活動のベースになったんです。これは誤解される事が多いのですが、富士章の値打ちが下がったのではありません。進歩制度そのものの方向性が進級からプロジェクトアワードの取得に移ったという事です。富士章という名称が同じなので誤解されるのでしょう。
隊の運営方法も大きく変わりました。シニアー隊では隊プログラムが中心で、そこで拾えなかった個人のニーズはアドホックグループとして活動していました。また、隊プログラムを進行する上で、各プログラムの進行に合わせて企画委員会、計画委員会、実行委員会が組織され、スカウトの自治によって運営されていました。それがベンチャー隊に移行して、より強いものとなりました。
アドホックグループで行われていた個人またはグループのニーズは、個人またはグループプロジェクトとして、隊活動の中心となり、隊運営は議長を中心とする隊運営スタッフで行う隊運営会議と、隊員全員で行う隊会議で決議され進行するようになりました。逆に言うと、より自発活動にシフトした為に、スカウトにやる気が無ければ何も進みません。指導者の役割は、隊運営のサポートからスカウト自身のやる気を引き出す事になりました。
少人数隊の場合、隊運営会議・隊会議・プロジェクトグループの会議・隊集会の構成員が全て同じになる事も考えられますが、全ての会議にはそれぞれの意味と役割がありますから、今、何をしているのかを明確に分けてやることが必要となります。(少人数隊の運営は非常に難しいです)

グループワーク(§VS03)

上記のように隊運営は各会議によって行われますので、活動のベースはグループワークになります*2。このセッションではグループワークを教育に取り入れた意義やその教育効果も含めて、システムの骨組みを学びました。実践はこの後のセッションで展開されます。

スカウティングと環境教育(§VS04)

このセッションは、今までと少し流れが変わります。隊運営が各種の会議によって進められるとはいえ、活動の中心は野外です。それはボーイスカウト運動が、班制教育、進歩制度、野外活動の3つの柱で支えられているからで、野外活動の無いボーイスカウト活動はありえません。野外に出るという事は、当然、環境問題に直面する訳で、環境教育は避けて通れない問題なのです。「来た時よりも美しく」「残して良いのは感謝のみ」とは昔から言われてきましたが、見た目だけではなく、環境問題に配慮したプログラムを展開するよう、日ごろから意識を高めるようにしておかなければなりません。

隊のプログラム(§VS05)・ベンチャープロジェクト(企画・計画)(§VS06)

このセッションから「実行によって学ぶ」という形式になります。つまり、スカウトの立場になって隊運営と進歩課程、プロジェクトの企画・計画・実施・評価を体験して行きます。
はじめに、今夜の「1泊単独キャンプ」の計画書を作成しました。
ベンチャープロジェクトへの参加はベンチャー章以上のスカウトと規定されており、ベンチャー章を取得するには「自ら計画した一泊単独キャンプを隊長の承認を得て実施する」という項目があります。その「1泊単独キャンプ」を体験し、ベンチャー章を取得してプロジェクトに参加するのです。(研修所では時間の都合上、ベンチャー章取得前からプロジェクトに参加していますが、本来はベンチャー章取得後でないと参加できませんのでご注意下さい)
計画書を隊長に提出したら、活動年度*3末までに行われる次年度の年間プログラム作成にかかります*4。全員出席の隊会議で、ニーズの集約と活動チームの編成を行います*5。この隊会議で次年度の活動の骨組みを決めますから非常に重要で、できれば十分な時間を取って可能な限りのニーズを引き出してやる必要があります。ニーズを集約し、いくつかの活動チームが出来たら隊会議は終了です*6。この会議で「サイクリング」「サバイバル」「カヌー」の活動チームができました。僕は「サイクリング」のチームに所属しました。(活動チームに所属できるのは「ベンチャー章」以上のスカウトで、当然、議長と運営スタッフも含みます)
次に、活動チームに分かれて、1回目の活動チーム会議を行います*7。この会議ではチーフとマネージャーを選出し、チーム名を決めたり活動内容の大筋を決め、企画書を作ります。(僕はチーフになりました)
続いて隊運営会議が開かれます。参加者は議長を含む隊運営スタッフと、全活動チームのチーフ(及びマネージャー)です。各活動チームから提出された企画書*8を元に年間プログラムを作成します。
隊運営会議で作成した年間プログラムは、隊会議の承認を受けて成立します。隊会議に於いて各活動チームは、企画書の内容を発表し、質疑応答の後、承認を受けます*9。全ての活動チームの企画が承認されれば、次に個人プロジェクトの発表と質疑応答、承認を行い、隊運営会議で作成した年間プログラムに書き加え、承認されれば年間プログラムは成立*10します。しかし実際は、ここで成立した年間プログラムは、かなり流動的なものです。なぜなら、個人プロジェクトについては年度の途中で加わるものもありますし、チームプロジェクトも、計画段階で細かな変更もあるかもしれません。また、プロジェクト遂行の途中で派生するプロジェクトもあります。ですから、定例の隊運営会議と隊会議で追加承認を得て年間プログラムは書き加えられて行くものなのです。極端な話、完璧な年間プログラムはその活動年度末にようやく完成*11します。(笑)
ここからは新しい活動年度のお話です。
各プロジェクトには活動期間があり、その期間内に全体計画書の作成と承認、事前準備期間に行う活動の部分計画書の作成承認及び部分計画の実施、プロジェクトの実施展開、評価反省及び報告書の作成・提出を行います。その間、隊会議で途中経過の報告ももちろん行います。チームプロジェクトの活動期間に関わらず、個人プロジェクトや技能章・宗教章の取得などの活動は平行して行われますが、研修所では全ての活動チームが同時に活動期間に入り、個人プロジェクト等は行っていないという特殊な設定でセッションを進めます。
プロジェクト活動期間に入ると、まず全体計画書を作ります。テーマ、目的、目標を定め、それを実現する為に、いつまでに何を調査し、何を準備し、どんな訓練をして行くのかを決めます。この段階で派生するプロジェクトがあれば企画を隊運営委員会に提出します。例えば「サイクリング」の場合、コースの決定や下見も必要ですし、自転車の分解修理の技能を取得したり、交通法規の学習も必要です。また、体力作りもしなくてはなりません。それらの事をいつ頃までにどの程度まで準備するかを計画します。また、準備品・携行品、予算、安全対策など、全体計画書に盛り込んで、隊運営会議に提出します。ここで承認されれば隊会議で発表して承認を受けます。全体計画の承認を受けたら、事前準備期間に行う活動の部分計画書の作成に移ります。今回は、自転車の分解修理の部分計画を立てて、明日、実施する事になりました。

ここまでが今日のセッションです。
セッションの進行が遅れた為、この時点で外は真っ暗でした。お腹もすいていますが、野営地で夕食を食べる事になっていますから、これから準備をして「1泊単独キャンプ*12」に出発しなくてはなりません。野営地には飲料水が無いので、予め調理用の水を含めて飲料水を用意し、テントと寝具と炊具を持って出発の報告をした後、野営地へ向かいました。
野営地は、研修所から2km程度の山の中なので、すぐに着くはずだったのですが、ちょっと道に迷っちゃいました。(T_T) すぐに正しいコースに戻ったけれど、チームのメンバーが1人、体調を崩し研修所に帰ったので、野営は5人で行う事になりました。
野営地に着いて、テントを張っている間にお湯を沸かし、夕食を作ります。(レトルトだけど…) 食べ終わった後、今日の反省などを話し合い、そのまま雑談に移り気が付くと0時。明日も早いので寝る事にしました。
本日の反省点。睡魔に負けました。しかも完敗。(x_x)

*1:と言っても、単独ではないのですが……。

*2:会社組織みたいでしょ?

*3:通常9月から翌年の8月

*4:ここからは急にドラマ仕立てになります。(笑)

*5:必要なら次年度の議長と運営スタッフを選出します。

*6:あたりまえだけど、本年度の活動に関する議事が有る場合は会議を続けます。

*7:これは同日でも後日でもチーム員の都合の良い時に行います。

*8:この段階で企画書に不備がある場合は、次回の隊会議までに活動チーム会議を開き企画を練り直します。

*9:ここで出た意見は、計画の参考になるので、マネージャーはしっかりと記録しておかなければなりません。

*10:活動年度末(通常は8月末)までに成立する事が望ましいとされています。

*11:実際にうちの隊では前年度末に詳細な年間プログラムは作っていません。

*12:単独といっても研修所ではプログラム進行の関係上、チーム単位でのキャンプです。