インダバ (2日目)

起床時刻は7時です。洗面と部屋の掃除を済ませて朝食の配膳を手伝う為に食堂へ。7時半から朝食、8時から朝礼、8時40分から今年のインダバのメインであるワークショップが始まりました。

スカウト運動の使命声明

昨日とは違うグループに分かれて、与えられたテーマに沿って討論し、グループの意見を纏めて発表するのですが、それに先立って「スカウト運動の使命声明」について説明がありました。以下に全文を引用します。

スカウト運動の使命声明
スカウティングの使命は、スカウトの「ちかい」と「おきて」に基づいた価値観を醸成する教育体系を通して、人々が個人としての資質を発揮し、社会において積極的な役割を果たすことが出来る、より良き世界を築くことに役立つよう、青少年の教育に貢献することにあります。
この使命は
  • 青少年をその成長段階にある期間を通じて、ノン・フォーマル教育課程に関与させること
  • 青少年が自己を信頼でき、協力的で、責任感があり、明確な態度をもった人間として成長するにあたって、ひとりひとりを重要な役割をもつ者に育て得る特有の方法を用いること
  • スカウトの「ちかい」と「おきて」に示されている、精神的、社会的、かつ個人的な原則に基づいた価値観を醸成する体系を確立するよう青少年を支援すること
によって達成されます。
(第35回世界スカウト会議決議:1999年7月 南アフリカ・ダーバン)

約1時間のお話でしたが、昨夜遅くまで常識の無い情熱は危険というテーマで盛り上がったお陰で途中から夢の中。殆ど覚えていません。(笑)

何のためのスカウティングか

うちのグループに与えられたサブテーマは「スカウティングは地域社会からどのようなニーズがあると思うか。また、それにどのように応えていると思うか」というものでした。
一言で「地域社会」と言っても、例えば西宮地区は基本的に校区によって団が分かれている為、地域社会といえば中学校の校区程度の広さをイメージするそうですが、宝塚地区は、宝塚市三田市篠山市を含む大きな地区なので地域社会といえば行政区程度の広さをイメージしてしまいます。このように「地域社会」をどうとらえるかによってニーズも変わってくるので、まず「地域社会」の定義について考えようという事になりました。
しかし、ここで大きな問題が生じたのです。「地域社会」を正しく定義できても、そこからのニーズを正しく把握できているかと言われると、誰も自信を持って答えられないと言うのです。もちろん僕もその一人です。ボーイスカウト人口が減少してきた要因もそこにあるのではないかという事で、うちのグループはテーマから逸れていますが、地域社会とのコミュニケーションの重要性とその方法に付いて討論する事になりました。
ここだけの話ですが、インダバの目的は指導者同士で討論する事で結論を出す必要は無いんです。また、与えられたテーマというのはその為の導入に過ぎませんから、話が大きく逸れてしまっても有意義な討論が出来ればそれで良いんです。(但し、発表の際に、なぜテーマから逸れたのかを説明しなければなりませんが…)
白熱した討論の末、ニーズに応えるには、まずそれを把握する必要があり、地域社会から遊離した状態でスカウト活動は成り立たないという当り前の結論が出たところで昼食の時間になりました。
「あとは発表者の腕次第だから、家門君、よろしくね」って、えっ、なんで??

誰のためのスカウティングか

こちらも難しいテーマで困りました。「スカウト自身の為」と「社会全体の為」という大きな二本の柱があるからです。
ボーイスカウトってどういう団体だと思います? ボランティア団体ですか? 教育団体ですか? キャンプばっかりやってるとか、募金ばっかりしてるとか。中には自衛隊の予備軍なんて思っている人、居ませんか?(笑) これは午前中のテーマにも通じる事なのですが、ボーイスカウトについて正しく知って頂くという我々の努力が足りない為に、地域社会から遊離してしまった結果なんでしょうね。
スカウティングの根底には青少年がその自発活動により自らの健康を築き、社会に奉仕できる能力と技能を体得し、誠実、勇気、自信、国際愛と人道主義を把握し実践できる「より善き公民」を育てるという目的があり、「ちかい」と「おきて」の実践を基盤とし、班制教育と進歩制度、キャンプなどの野外活動を通じて各年齢層に適応した一貫した指導プログラムに基づいて青少年を教育(訓育)するという基本方針があります。
これは僕の持論ですが、指導者の役割はあくまでも上記の教育理念に従ったスカウトの自発活動のサポートであり、裏方に徹するべきです。ボーイ年代では班長・次長にのみ指令を出し、班内の自治に任せることで自発活動を促す事が可能です(班制教育)。ビーバーやカブ年代に自発活動をさせるというのは難しいと思いますが、指導者がしっかりと立てた計画通りのプログラムでも、自分たちが主導権をとって進めているという錯覚を起こさせてやれば良いのではないでしょうか? ベンチャー年代になると指導者がやっていた裏方での作業、つまり危険予測と安全対策まで考えさせ、指導者はそのチェックをし、彼らの気付いていない点を指摘することに徹すれば良いと思います。また、ボーイ年代以上に活動の幅が広がりますから、人的支援も必要となるので、日頃から人脈を作っておくというのも重要な役割になりますね。
上記の持論を展開し他の人から質問を受け、それに応えている内に時間になりました。(常識の無い情熱は危険(笑) )

発表

うちのグループは最後でした。他のグループの皆さんは、ちゃんとサブテーマに沿った討論をして、一つの結論を導き出しているようで、脱線してたのはうちだけのようです。(笑)
持ち時間の10分で、2つのテーマについて発表したのですが、僕の担当は脱線した「何のためのスカウティングか」で、結論を纏める事が出来た「誰のためのスカウティングか」は他の人に担当してもらいました。
発表は討論と同じく脱線しまくりで、参加者の失笑を買いながら6分以上を費やし無事に終わりました。

発表も無事に終わり、全体の纏めのお話があり、ワークショップは終わりました。
その後、閉会式があり、東ブロックの担当者だけ残り、後片付けと反省会をして解散。有意義な2日間でした。