研修旅行(2日目)

今日は昨日の「お寺巡り」から一転して「工場見学」がメインです。朝食の後、宿のマイクロバスで駐車場まで行き、大型バスに乗り換えました。昨日登ってきた坂を今度は下るわけで、朝から結構スリリングな体験でした。(笑)

引き手

まずは「引き手」の工場を見学する為、天理の株式会社坂本金属工業所へ向かいました。工場見学って小学生の時の社会見学以来じゃないかなぁ?(笑)
初めに社員食堂で簡単な説明がありました。最高級品といわれる高価な引き手は職人さんによる手作りですので今日は見る事が出来ませんが、パーツ毎に作って鍍金や塗装をした後組み立てる高級品・中級品や、型抜きをして塗装する普及品の製作工程を見させてもらえるとの事でした。うちのお店では「ツキエス」の引き手を使う事が多いので、どうやって作っているか興味津々です。
いよいよ実際の作業工程を見学する為に工場の中に入ります。現在は不況のせいか、引き手の生産量も落ち込み、機械の稼働率も低かったのですが、それでも工場内はかなりの騒音レベルでした。
まず、金属板から引き手のパーツを作り出すプレス機を見ました。規則正しいリズムで型抜きされたパーツがプレス機から飛び出してきます。飛び出した勢いで傷が付かないようにする為か、小さな座布団がクッションとして付けられていました。
次はプレス機で作ったパーツを鍍金・塗装する工程です。まずは両面塗装をする機械を見学しました。ベルトコンベアのように移動する金属のネットの上にパーツを裏向きに並べると、機械によって流れて行き、裏面を塗装・乾燥させて出てきます。機械の中心辺りで自動的にパーツを表に返して、表面の塗装・乾燥をします。出てきたパーツを箱に詰めてこの工程はおしまい。
途中でひっくり返すところがこの機械のミソで、社長が煎餅工場を見学に行ってアイデアをもらってきたそうです。今後の目標は、最初の並べる部分と最後の箱詰めの部分を機械化する事だと言ってました。
片面塗装の機械も色々と工夫されていて楽しかったです。鍍金の工程も最初と最後を除いて全自動でした。でも、写真を撮れなかったのが残念。
組み立て工程は一次検査を兼ねているので殆どが手作業でした。各パーツをチェックしながら組み立ててコンベアに載せたら、バラバラにならないように圧力をかけて固定する機械を通します。上下の無いデザインの引き手はここで同時に釘を打つ穴を開けますが、上下のあるものは次の工程へ。
次の工程では引き手の上下を確認して釘を打つ穴を開けます*1。釘穴を開けられた引き手は最終検査を受けた後、出荷用の箱に詰められて完成です。
最終工程を見学して社員食堂に戻る途中で工場内が見える通路を通ったのですが、見学が終わった機械の内、約半分が停止していました。我々の見学の為だけにわざわざ動かしてくれていた機械もあったんですね。和室離れによる生産量の落ち込みの深刻さを目の当たりにしたような気がします。

奈良と言えば

東大寺大仏殿 盧舎那佛

若草山の近くで昼食を摂る為に、春日大社の駐車場にバスは停まりました。春日大社をお参りしてから昼食を予約していた「春日野」さんへ。途中、沢山の鹿に遭遇しました。
昼食の時間を含めて1時間半ほどの余裕があったので、昼食を早々に済ませて東大寺へ。何度見ても大仏さんはでっかいですね。(笑)
あまり時間が無かったのでゆっくりとはしていられなかったのですが、写真を撮ることが出来たので満足です。

織物ふすま紙

奈良公園をあとにして、バスは次の見学場所である小嶋織物株式会社へ向かいました。小嶋織物さんは内装インテリア織物(ふすま紙,壁紙,カーテン)を製織から最終製品まで一貫生産していて、うちのお店でも襖紙の「いづみ」は取り扱っています。
工場の2階で工程についての説明を受けた後、4組に分かれて工場内を見学したのですが、工程順ではなく空いている工程からの見学になりました。(うちの班は裏打と表面加工の工程からでした)
工程を順を追って説明しますと、まず、生地幅分の経糸を予め巻いておく整経という作業があります。糸を1本ずつ機械に通してセットするのですが、なんとこれが手作業なんです。かなり根気の要る仕事で、大変そうでした。ちなみに巻き取りはもちろん自動ですよ。(笑)
製経機で巻き取られた経糸エア織機レピア織機によって織り上げられます。工場内は自動織機の音で隣にいる人とも満足に話しが出来ないほどの五月蝿さでしたが、働いている人達は耳栓をしていなかったような気が……。慣れると平気なのでしょうか?
僕は工場の外に出ても、しばらくは耳の奥でシャワシャワと音がしている気がしました。
織り上げられた生地は、中間検査として人の目によってチェック(検反)を行います。細かくチェックされて合格したもだけが次の工程(裏打)に運ばれるそうです。
検反を通った生地は裏打紙を貼り合わせ、用途に応じた表面加工と、色や図柄などを印刷します。(今回は印刷機は動いていませんでした)
加工が終わると乾燥機にかけられて十分に乾かします。乾燥機のある部屋は物凄く湿度が高く暑かったです。(この部屋の担当も嫌だなぁ…)
乾燥が終わるとスリッターという機械にかけ、両端をカットして製品の幅を揃えます。その後、人の目による最終検査を行い、同時に製品の長さに裁断します。こうして完成した製品はコンピューター管理された倉庫に一旦保管され出荷の時を待つのです。
小嶋織物さんは製織から最終製品まで一貫生産しているので、全体の流れを見る事が出来ます。内装インテリア織物の需要も高く、他のメーカーにも製品を出荷している為、工場もフル稼働でした。
ただ、現在の主力商品は壁紙で襖の需要は減っているようです。印刷の機械が止まっていたのはその証拠でしょう。ここでも和室離れの深刻さを目の当たりにしました。

見学を終えて

予定していた見学も全て終了し、バスは宝塚へ。僕は宝塚駅で降りましたが、バスは宝塚→伊丹→西宮の順に参加者を降ろし、今回の研修は無事に終了しました。

*1:穴をあけるのは機械ですが、機械にセットするのは手作業です