第4回 本願寺派スカウト指導者会海外研修(3日目)

ボーイスカウト運動は、今から100年前、当時、英国陸軍の中将だったロバート・ベーデン-パウエルが、イングランド南部、ドーセット州プール湾に浮かぶブラウンシー島で、20人の少年たちを集めて行った実験キャンプを起源としています。(この辺りの事は、昨日の日記の「ブラウンシー島のこと」を読んでください)

そのブラウンシー島の実験キャンプが行われたのが8月1日で、今日が100周年記念日にあたり、世界各地で100周年を祝う行事である "Sunrise Ceremony" が行われます。日本のように、文字通り、日の出の時刻にあわせて行事を行う国もありますが、ここイギリスでは、新世紀への夜明けと言う意味を込め、100年前の実験キャンプが始まった午前8時に新たな100年に向けて自らのちかいを再認するという "Sunrise Ceremony" が行われます。今日はそのセレモニーに参加するため、ギルウェル・パークに向かいます。ギルウェル・パークはボーイスカウトの指導者にとっての聖地です。今日の日記も長いですよ。(笑)

起床

今朝は6時に出発するので起床時刻は5時。でも、ここでもまた遠足の前の日症候群(何?)のために4時半には起きていました。でも、日本時間だとお昼の12時半なので、時差に体が馴染んでないだけかも知れないですが……。(笑)

昨日の朝、ホテルを出た時には太陽が出てたので、日の出時刻は5時25分頃だと思うのですが、窓の外は少しずつ明るくなってきています。日の出にはまだ1時間近くあるようなので、さっさと起きて出発準備をして、日の出を見るのも良いかなぁなんて考え、洗面を済まし、制服に着替えて一足早くロビーに下りることにしました。

ホテルの前の道は高い建物に囲まれているので、ケンジントン・ガーデンズに行こうと思ったのですが、ケンジントン宮殿の警備の関係で、開園時間が日の出から日没までなんですね。その関係で、お隣のハイド・パークも日の出前から深夜24時しか開いておらず、公園で日の出を見るのは難しいとホテルの人が言っていました。仕方なく、ホテルの前の道で、雰囲気だけ味わいました。(残念)

ギルウェル・パークへ

昨日と同じように朝食をレセプションで受け取り、6時前にバスに乗って点呼を受け、今朝は全員揃って出発しました。(笑)

ギルウェル・パークは大ロンドンウォルサム・フォレスト特別区チンフォードにあります。市内の中心部からは直線で北北東に約20km弱。この時間だと道路も混んでいないので、約1時間で到着するだろうとのことでした。

今日もとても良いお天気で、真っ青な空に飛行機雲が何本も走っていて綺麗でしたよ。

ギルウェル・パークのこと

1919年に、当時スコットランドダンバートンシャー*1コミッショナーだったウィリアム・F・マクラーレンが、ロンドンイーストエンド*2の近くにスカウト活動に適したキャンプ場がなかったので、£7,000の私費を投じて53エーカー(約21ヘクタール)土地*3を購入して英国連盟に寄贈し、さらに£3,000を費やして建物の修理やキャンプ場の整備を行なったのがギルウェル・パークの始まりです。

ベーデン-パウエル卿は、その功績を称え、マクラーレン家のキルトの紋様をつけたギルウェル・スカーフを作り、現在も指導者上級訓練修了者のみに着用が許されるものとして継承されています。

また、初代の所長に就任したフランシス・ギドニーが、ベーデン-パウエル卿を講師に招き、1919年9月に初めての指導者訓練である第1回ウッドバッジトレーニンを開催し、現在も指導者訓練の中心的な施設として、リーダートレーナーコース(指導者の指導をする人たちの訓練)などの上級訓練が行われています。

はじめの一歩

バスは途中で道を間違えて住宅地内をさまよったりしながらも、7時過ぎにはギルウェル・パークの駐車場に着きました。*4

駐車場に着いて、Hさんが入場手続きを終えて戻ってくるのをバスの中で待ちました。その間、約20分。今日も昨日と同じようにオアズケをくらった犬の気分です。Hさんが帰ってきて、ガイドブックと緑のリストバンドをもらい、7時30分にギルウェル・パーク(の駐車場)の芝生の上に降り立ちました。

サンライズセレモニー

メインゲートの前で記念写真を撮り、セレモニー会場へ急ぎました。広場に着いたのは7時43分、セレモニー開始の2分前でした。

ギルウェル・パークのセレモニー会場は、ステージと大きなスクリーンがあり、そのスクリーンにブラウンシー島で行われているセレモニーを映していました。ブラウンシー島からの最初の映像は、昨日、作っていたをみんなで仕上げているというものでした。昨日の録画かと思ったら生中継みたいです。リポーターが、「ボーイスカウトのモットーは『そなえよつねに』だと思ってたんだけど、けっこうギリギリまで作業してて大丈夫かな?」って感じの事を言ってたんだけど、昨日の夕方には完成してたんですよね。「完成までもう少しかかりそうなのでVTRをどうぞ」って感じで、スカウト達へのインタビュー映像が流れ、VTRから戻ってきたところで、橋が完成しました。ヤラセ丸出しなんですけど……。昨日、何回くらいリハーサルしたんだろう?(笑)

午前8時ちょうどに、英国連盟の連盟長ピーター・ダンカン氏が橋の上で、100年前のB-P卿のように Kudu-Horn を吹き、全員でスカウトサインをして、各々の国の言葉で、自らのちかいを再認する儀式がありました。

スカウトの「ちかい (Scout Promise)」は、全ての加盟国でほぼ同じ内容*5で、基本の形は以下の通りです。

The Scout Promise
On my honour I promise that I will do my best―
  • To do my duty to God and the King (or to God and my Country)
  • To help other people at all times
  • To obey the Scout Law.

ちなみに日本連盟の「ちかい」は以下の通りです。

スカウトのちかい
私は、名誉にかけて、次の3条の実行をちかいます。
  • 1. 神(仏)と国とに*6誠を尽くしおきてを守ります。
  • 1. いつも、他の人々をたすけます。
  • 1. からだを強くし、心をすこやかに、徳を養います。

ね、ほとんど同じでしょ? 色々な国の人が、各々の言葉で同じちかいを再認するなんて、本当に世界のボーイスカウトは一つなんだなぁと実感し、感動しました。これがジャンボリー会場だと、感動ももっと大きかったんでしょうね。

ちかいの式の後、色々な国のスカウト達が、橋の左右から渡り始め、中央で握手をする儀式がありました。その中には国家間で紛争のある国同士のスカウトもいて、ボーイスカウトの世界は、宗教やイデオロギーを超えて、本当に一つの「ちかい」で結ばれた一つの世界なのだとあらためて感じました。

感動の内に、でも、ある意味あっけなく、8時10分にはブラウンシー島からの中継は終わってしまいました。その後、ギルウェル・パーク会場のステージで、世界各国から届いたメッセージとして、日本の富士山頂で行われたサンライズセレモニーの報告が読まれました。メッセージが読まれたのは日本だけで、その他は国名だけの紹介だったからとても名誉な事なのですが、原文を紹介しようにも突然だったのでメモできませんでした、ごめんなさい。これって、ギルウェル・パークだけのプログラムだったのかも知れませんが、だれか、ビデオに残してないかなぁ……?

朝食&お買い物

サンライズセレモニーが終わり、プログラムに参加する前にホテルから持ってきた朝食を食べる事にしました。今日のメニュー(?)も昨日と全く同じ。もし、期間中、毎日の朝食を用意してもらったとしても、たぶん毎回同じでしょうね。(笑)

ガツガツ食べて、最後にリンゴを食べてたら、ハチがハエのように寄ってきました。食べてるリンゴの上にとまるんですよ、何匹も。追っ払おうにも、刺されたら嫌だし、正直困りましたが、ハチとの攻防(?)を制してリンゴは何とか食べきりました。

朝食の後、9時20分まで時間があったので、ギルウェル・パークのお土産を買うことにしました。まあ、お土産を買った売店(テント)がスカウト向けのショップだったので、お土産といっても、ポロシャツとワッペンくらいしか買いませんでしたが、英国連盟本部の需品部なら、ウッドバッジ(2ビーズ)も買えたかも。

ギルウェル・アドベンチャー (Gilwell Adventure)

ギルウェル・パークでは、21WSJ の期間中、ギルウェル・アドベンチャーというプログラムが展開されています。"Mountain and Motion Zone", "Discovery Zone", "Scouting Skills Zone", "Challenge Valley Zone" という4つのゾーンに分かれていて、色々なアトラクションやクラフト体験、見学ツアーなどが行われていましたので、我々はその中の2つ、"Challenge Valley Zone"と"Scouting Skills Zone"に参加しました*7

チャレンジバレー (Challenge Valley)

チャレンジバレーは、ギルウェルパークの一番奥にある常設のフィールドアスレチック施設で、チューブ状の滑り台を滑り降り、アップダウンを繰り返しながら、数々の障害物を乗り越え、最後は丘を駆け上がって鐘を鳴らせばゴールという、かなり体力の要るアトラクションです。見学者は谷に下りることができないので、全体像を知るには挑戦するしかないのですが、僕は記録写真の撮影という大役があったので参加は諦めました。(でも、ゴールに入ってくる参加者の様子を見ていると、参加できなくて良かったかも……。(笑) )

我々の見学隊からも29名中12名が参加しました。特に、京都23団新門さまも含め、5名全員、宝塚からはNさんが参加しました。

スタートの合図と共に猛ダッシュで滑り台までの数百メートルを走り、壁を乗り越えたり、ロープを伝って丸太橋を渡ったり、ネットを潜ったり、雲梯を渡ったり、丘を駆け上がったりと、もう見ているだけで疲れました。参加されたみなさん、本当にお疲れ様でした。

スカウティングスキルズ (Scouting Skills)

思いっきり体力を使い果たした後は、スカウト技能の研鑽をしようと、次に向かったのは "Scouting Skills Zone" です。ここでは、ビーバー隊やカブ隊の集会で使えそうな簡単なクラフトや、今回のジャンボリーの記念品になるような立派なお土産が作れるブース、チームで参加するカートレースなどが行われていました。

チャレンジバレーの後だったので、さすがに体力を使うカートレースに参加する人は居ませんでしたが、みなさんそれぞれに思い思いのブースで、クラフトの体験をしていました。

11時半に一旦集合して、プログラムへの参加は終了しました。その他の2つのゾーンには時間の都合で参加できませんでしたが、21WSJ に参加しているスカウト達は、朝から夕方まで滞在しますので、全てのゾーンを体験できるようです。

ギルウェル・パーク散策

12時20分まで自由時間ができたので、各ゾーンのプログラムの邪魔にならない程度に、ギルウェル・パーク内を散策してみました。一番見たかったのは、日本のウッドバッジ研修所ウッドバッジ実修所に入所する時にくぐる「道心門」の元になったゲートです。

「道心門」というのは研修所や実修所に入所する時にくぐる門で、頭を下げてくぐらなくてはならないくらい低く、自然木などで作られている素朴で小さな門です。入所者全員が所長の前で「入門の心構え」を確認し、この門をくぐった先の広場で入所式を行います。僕も研修所で3回、実修所で1回くぐりました。

ちなみに、今、手元にある「入門の心構え」は以下の通りです。

道心門入門の心構え
  • この門より中の野営地は、スカウトの道を極め、共に修行する道場である。
  • この門をくぐるに当たっては、この門の外に、現在までの社会的地位、職業、年齢等をおいて、11〜15才の少年になること。
  • 入所中はいっさい批判を行わず、素直にすべての行事、講話を受け入れ、もし批判のある場合は、研修が終わってから行うこと。
  • 全期間を野営で行い、すべて自営自活すること。

以上の事を守る自信のある者はこの門をくぐるように、もし自信がない者はこの場から帰ってもらいたい。

ちなみにこの「入門の心構え」はかなり昔のもので、父がBS課程の研修所を受けた時のものです。オリジナルのものとはちょっと違うので、その時の所長さんがアレンジしたものでしょうか? 僕が入所した時は、4回とも口頭で説明があっただけで、このような「入門の心構え」のコピーはもらえませんでした。

まあ、そんな感じで、「道心門」を探すことになったのですが、これがどうして、なかなか見つかりません。なぜなら、場内マップにも載っていませんし、「道心門」の本名(?)を知らなかったからです。とりあえず、時間があるので、場内の主なポイントを巡って行けば、そのうち見つかるだろうと考えて、まずはホワイトハウスに向かいました。

ホワイトハウスは2001年以降は英国連盟本部として使われています。また、レストランや会議室、宿泊施設も備えていてギルウェル・パークの中心的な建物です。正面の芝生には、B-P卿の緑のロールスロイスとキャンピングトレーラーがおいてありました。

ホワイトハウスの裏手に回ると、「バッファローの芝生」がありました。ここにはある名前の判らない少年に対してアメリカ連盟から送られたバッファロー銅像があります。この少年の話は、「アンノウンスカウトの物語」としてスカウト関係者ならみなさん御存知だと思いますが、知らない人は調べてみて下さい。テストに出ますよ。(笑)

バッファロー像の台座には、To the Unknown Scout whose faithfulness in the performance of his Daily Good Turn to William D. Boyce in 1909 brought the Boy Scout Movement to the United States of America. と刻まれていました。

次に見つけたのはブロンズのB-P卿の胸像です。台座にはなにやらスペイン語(?)で書いてあるのですが、英語じゃないので、ベーデン-パウエル、1968年、メキシコ、オリンピックのマーク以外は解読不能。今日、入場するときにもらったガイドブックによると、1968年のメキシコオリンピックの時に作られたもので、オリンピック終了後にメキシコ連盟から寄贈されたものだそうです。でも、なぜオリンピックの時に作られたんだろう……?

続いて発見したのは、B-P卿の足跡です。1933年にハンガリーゲデッレーで行われた第4回世界ジャンボリーの時に、泥濘に足を取られたB-P卿を記念して(?)ハンガリーのスカウト達がその足型を取り作ったものだそうです。これを作ったスカウトの気持ち、わかるなぁ……。(笑) Try it for size! とガイドブックに書いていたので試してみました

次に見たのは1967年にタイ連盟から寄贈された佛教徒のための礼拝堂です。佛像は1000年以上前に作られたものらしいですよ。

その先にあったのはキリスト教の礼拝施設。写真では背景に溶け込んで判りにくいですが、十字架の形からするとプロテスタント系の礼拝施設だと思います。その他に、写真は撮っていませんがローマカトリックの礼拝堂やユダヤ教の礼拝施設もありました。

途中、"The Jim Green Gate" という門を通りました。この門はトレーニンググラウンドの入口みたいなので、一瞬これが「道心門」かと思ったのですが、常に開いているのでいつでもくぐれますし、普通のキャンプサイトゲートのようです。

次に見たのは「爆弾の池」です。この池は、第二次世界大戦の時、ドイツ軍が落とした爆弾の跡に水がたまってできた池です。

池の反対側は "Mountain and Motion Zone" のプログラムが展開されているエリアだったので、それ以上奥へは行けず、途中にあった小営火場で、スカウト達の荷物番をしていたハンガリーのおじさんと少しお話をしました。その後、池の周りをぐるっと回って帰って来たのですが、「道心門」は見つからずじまい。まあ、良く考えてみると、入所時にくぐる門ですから、そんな奥の方にあるわけがないですよね。(笑)

気を取り直して、ギルウェル・パークの入口付近を探すことにしました。で、見つけたのがギルウェル・パークの正面ゲートである "Leopard Gate" でした。この門は研修がある時だけ開かれ、普段は閉じているそうです。この辺りは日本の「道心門」と同じですね。そして、門の上にはギルウェルの "Axe & Log" があり、まさにこれがオリジナルの「道心門」でしょう*8

ただ、一つがっかりしたのは、この門が予想に反して非常に大きかった事です。間口が約5m、高さも4mほどありますので、どんな大男が来ても頭を下げる必要もなく、ふんぞり返ったって、背伸びしたって、ジャンプしたって、頭をぶつけることもありません。「道心門」の元になったゲートがギルウェル・パークにあると言っていた人は、ほんとうにこのゲートを見たんでしょうか?(笑) 日本の「道心門」は、お茶室の躙口に近いイメージなので、おそらく日本独特の発展をしたものなんでしょうね。

そうこうしている内に集合時刻になったので、散策を切り上げて集合場所であるメインゲートへ向かいました。本当は、まだまだ見たい場所があったんだけど、これは次回(いつ?)以降のお楽しみということで、12時40分にバスに乗り、ギルウェル・パークを後にしました。

ドライブインでお昼

ギルウェル・パークからホテルへ帰る途中のドライブインでちょっと遅めの昼食を食べました。僕が食べたのは今日のカレー。インド風のスパイスが効いた本格的なカレーで、£6.99でした。財布に現金が乏しかったので、支払いは T/C で。イギリスの場合、£20(場合によっては£50も)の小額T/Cは、多くのお店で現金と同様に扱ってくれます。

そのお店で面白いものを見つけました。新製品(?)の「オレンジコーラ」です。コーラ好きなうちのS団委員長も、ダイエットコーク派のHさんも知らないということなので、日本では売ってないものなのでしょう。珍しそうなのでとりあえず写真だけ撮りました。

秘密会議

スケジュールの都合で、新門さまが明日の夕刻に日本にお帰りになるので、今日の夕食はイタリアンレストラン(何故?)で夕食会があります。そこで、何か記念になるものをプレゼントができないかと、東京のUさんから相談がありました。ちょうど、明日は今回の研修の最大の功労者であるHさんの誕生日でもあるので、一緒にお祝いしちゃいましょうと提案し、その趣旨に賛同してくれる方にカンパをお願いして、事務局のKさん、東京のUさん、京都のKさん、そして僕の4人でプレゼントを買いに行く事に決まりました。

早速、ホテルに向かうバスの中で趣意書をUさんが書き、二人にばれないようにバスの中で回覧し、全員の賛同を得てそこそこのお金が集まりました。どのようなものを買うかも、だいたい考えたようなので、ホテルに着いたらさっさと着替えてロビーに集合し、プレゼントの買出しに行く事になりました。

プレゼントを買いに

ホテルに着いてほっとする間もなく、急いで着替えてロビーに下りました。Uさんたちは一足先に降りていて、買い物に行くお店を決めていました。まあ、ブランドに疎い僕を待たずにお店を決めている辺りは賢いですね。(笑) プレゼントを買うお店は キャス・キッドソンというブランドのお店です。で、何処が近いかと聞かれて、お店の住所一覧を見せられました。ホテルから一番近いのは、たぶんノッティング・ヒルのお店で、その次がナイツブリッジハーベイ・ニコルズ内のお店のようです。品揃えはノッティング・ヒルの方が多いらしいけど、ナイツブリッジだと、ダメだった時に近所にハロッズがあるので安心という理由でナイツブリッジに向かうことにしました。

ナイツブリッジへは地下鉄だと2回も乗り継ぎしなくちゃならないので、ホテルの前でタクシーを拾いました。ロンドンのタクシーは「ブラックキャブ」と呼ばれていますが、最近はカラフルな車も増え、中にはラッピング広告車もあります。今日乗ったのは伝統的な黒塗りのオースティン型*9フェアウェイでした。

初乗りは£2.20(約550円)で、一部を除く大阪のタクシーよりも安いのですが、走り始めると想像以上に速くメーターが上がって行きます。300mほど走ったら£0.20が加算され始め、そこからは約150m毎に£0.20が加算されます。ホテルからハーベイ・ニコルズまでは約5kmなので、メーターは£8.20になり、チップも含めて£9.20(約2,300円)支払いました。ちなみに、料金はタクシーのドアを開けてから車内で払うか、車を降りてから、助手席の窓から払います。もし、目的地に着いても、降りるという意思表示をしないとメーターは止めてくれない運転手さんもいます。車から降りずに料金計算をもたもたやっていると30秒ほどで£0.20ずつ加算されて行きますのでご注意を。

ハーベイ・ニコルズの4階にキャス・キッドソンのお店はありました。Uさんたちが予算内でめぼしい商品を探してる間、事務局のKさんはお嬢さんへのお土産を探し、そんな用事もない僕は、店内の商品をボーっと眺めたり、店員さんとプレゼント用のラッピングの交渉(?)をしたりして過ごしました。あっ、一応、プレゼントの選択も手伝いましたよ、二択だったけど。(どっちがHさんのイメージに合う?って訊かれただけ。)

プレゼント用のラッピングだけど、店員さんが意外と不器用で、僕が代わりにやろうかと思いました。欧米人はプレゼントの包装をバリバリ破っちゃうので、その時まで無事に包まれていればたぶん気にならないんだろうと思うけど、日本人としては、もう少し綺麗に角を出すとか、リボンの結び方はもうちょっと丁寧に形良くとか思っちゃうわけ。でも、これって良くないですよね。

無事にプレゼントも購入できたし、少しお金が余ったので、ハロッズで小さなケーキを買う事にしました。このケーキの選択は僕に任されたので、真剣に選びましたよ。で、これって思ったケーキの中から一番形の良いやつを選んで店員さんに言ったら、それじゃない、一番手前のを箱に入れようとしたんです。しかも、上に乗ってたラズベリーが落ちてたやつ。誕生日用の大切なケーキだから、こっちの形の良いのにしてよってお願いしたら、面倒くさそうな顔をされました。天下のハロッズの店員がこれで良いの? それとも、そんな些細な事にこだわる日本人が変なの? まあとにかく無事に一番形の良いケーキも買えたから問題は無いんだけど、ちょっと納得いかないお買い物でした。

帰りはハロッズの前の道を渡ったところからタクシーに乗りました。少し距離が伸びた分、メーターは£8.60だったので、£9.80払いました。

夕食会

ホテルに着いたのは17時45分。夕食会は19時からなので、18時30分にロビーに集合です。あまり時間がなかったので、シャワーを浴びて制服に着替えたら、ちょうど良い時刻になりました。

ホテルの前に止まっていたのは、ギルウェル・パークに行ったのとは別のバスでした。もちろん運転手さんも別の人に代わっていました。理由は労働基準法(?)の規定らしく、朝6時から勤務していた運転手さんは、ホテルに帰ってきた時点で1日の労働時間が規定に達したらしく、今日はそのまま帰ってしまったそうです。労働条件がなかなか厳しいんですね。

バスは19時前にお店の近くに着きました。何処をどう走ってどのあたりに着いたのか、眠ってしまったので全く判りませんが、着いたのは bertorelli というイタリアンレストランでした。

夕食会の内容を事細かに書いてもつまらないと思うので簡単にしか書きませんが、新門さま(の奥様)へのプレゼントは気に入っていただけたようです。あと、Hさんの誕生日パーティーは予告してなかったので、かなり驚いてました。そして、プレゼントもケーキも喜んでもらえてよかったです。

そうそう、夕食会の余興(?)で、ブラウンシー島への後発隊(謎)だったMさんが、スプーン曲げを披露しました。しかも、お店のスプーンで。(ぉぃ) で、みんなも一緒にやって……(以下自粛)。元通りに戻しておいたからお店の人は笑って許してくれたけど、みなさん、物は大切にしましょうね。

反省会

21時に夕食会が終わり、21時半にホテルに戻りました。で、そのままさっきのスプーン曲げの反省会。でも、途中からはビールを飲みながらね。(笑)

こうして長い長い100周年記念日 "Sunrize Day" は終わりました。日記の長さも尋常じゃないですね。最後まで読んでくださった皆さん、お疲れ様でした。

明日は終日自由行動です。ボーイスカウト関係の行事から離れて、のんびりイギリス観光を楽しむつもり。スカウト関連の記事はたぶん明後日までお休みです。それではおやすみなさい。

*1:正確には Dunbartonshire の Rosneath という村の地区コミッショナーで、Rosneath は現在の Argyll and Bute Council にあります。

*2:ロンドン塔より東の地区で現在の Whitechapel や Stepney あたり。

*3:現在は倍の108エーカーに拡張されています。

*4:まあ、道を間違えたといっても、ロータリーの出口を一つ間違えて住宅街に入ってしまい、Uターンする場所がなかなか見つからなかっただけですが。おかげで、ロンドン市内の住宅事情について教えてもらう機会もできたし、時間も余裕がありましたから、結果的には良かったです。(笑)

*5:今回の世界スカウトジャンボリーのテーマも、"One World One Promise (一つの世界、一つのちかい)" でした。

*6:各々の信仰によって、「かみとくにとに」や「ほとけとくにとに」、「しんぶつ(かみ・ほとけ)とくにとに」と読み方が変わります。ちなみに僕は浄土真宗本願寺派の門信徒なので「ほとけとくにとに」です。

*7:自分たちで自由に順番を選んだように書いていますが、実は混雑緩和のため、リストバンドの色で、最初に参加するゾーンが決まっています。その後は、ある程度は選べますが、進行係(Team of Marshals)が、空いているゾーンを案内してくれるので、基本的にはそれに従って参加します。

*8:まあ、この門が本当に「道心門」なのかどうかは、ギルウェルで開かれるリーダートレーナーコースなどに入所すれば判るわけですが、そんな機会は絶対に来ないと思います。(笑)

*9:オースティンはブラックキャブのエンジンを作っていただけで、車体を作っているのはロンドン・タクシー・インターナショナル社です。しかも、オースティンは25年ほど前にエンジンの提供をやめたので、現在は日産やフォードのエンジンを積んでいるとのこと。車の耐用年数から考えると、本物のオースティンのブラックキャブは、おそらく1台も走ってないでしょうね。