訓練校最終日

今日は「兵庫県表装技能訓練校」の講習最終日です。8月9日・23日に引き続き、早起きして姫路まで行ってきました。
今日は仕上げの工程です。なのに、あいにくの空模様。今にも雨が降り出しそうです。本来は雨の日に仕上げるなんて事をしないのですが、日程の変更は出来ないので、今日、仕上げなければなりません*1
ワークルームに着いてすぐに、エアコンを点けて除湿をかけ、約30分ほど乾燥させました。その時間を利用して、軸棒を用意しました。仕上がり寸法に合わせてかかり(ほぞ)の長さを考えて軸棒をカットし、軸先を取り付ける為に(ほぞ)を作ります。今回の軸先は素焼きで、穴も中心から少しずれていて機械で削る事が出来ないので、昔ながらの手作業で作りました。ヒバを使ったので、錘を入れる必要も無く、枘が出来たら、速乾ボンドを使って、軸先を取り付けました。軸棒と軸先に段差が出来ないように削って完成です*2
仮張(かりばり)から外し、耳すきをします。まず、八双袋、軸袋の付け根からカッターで張り手に切込みを入れます。切込みを入れたら裏返し、切込みを入れたところから張り手を折り返します。その時、耳折(みみおり)をした部分が2厘(1mm弱)ほど見えるようにします。折り返したところから張り手を切り取って耳すきの工程はおしまい。
次に、八双袋と軸袋の処理をします。両サイドの余分な部分を切り落とすのですが、八双袋は軸幅いっぱいで折り返し、軸袋は耳すきの線に合わせて断ち切りにしました。軸袋の長さは、軸棒の太さ(8.5)の2倍で1寸7分で断ち切り、糊止をしておきます。
まず、八双から取り付けます。講師さんは、アイロンを使って乾かしておられたので軸棒からつけてらっしゃいましたが、僕は自然乾燥ですから、糊を乾かす時間を考慮して八双から始めました。八双を八双袋にあて、(へら)で印をつけます。八双を外し、その印から5厘ほど控えて余分な部分を切り取ります。八双を軸幅に合わせてカットし、端の処理をします。済んだら、切断面に上巻(うわまき)を貼り、八双袋に当てて星突きで裂側に線を入れて折り返しておきます。裂の折れ線から外側に糊をつけ、八双に貼り付けます。次に、総裏側に糊をつけ、八双袋の上からかぶせて貼り付けます。
次は軸棒の取付です。表向きに置き、総裏側に糊をつけます。かかりの部分が均等になるように軸棒を置いたら手前に転がして、貼り付けます。そのまま、裂側にも糊をつけ、表に糊が回らないように紙を置いて、軸棒を転がして一気に貼り付けてしまいます。隙間が空かないように微調整して、軸棒の取り付けは完了です。
乾かす時間を考えて、八双から取り付けたのに、ここでお昼休みになりました。(笑)
最終日は、時間に余裕があるので、例年通り、みんなで揃って食事に行きました。昼食後は(きれ)についての話を聴いて、質疑応答の後、作業に戻りました。
午後の作業は、軸を掛ける為の紐を通す(かん)を八双に取り付けるところからです。風帯(ふうたい)がありませんから、取り付け位置は軸幅の25分の8*3の位置に星突きで下穴をあけ打ち込みます*4
次に紐をつけます。紐の結び方は改めて画像付で解説しますから、今日は省略*5。鐶に紐を取り付けたら、巻緒をつけて完成です。
完成した作品を掛け、道具を片付けてから、作品の発表と批判の時間が始まりました。どういう意図でこのデザインにしたのかの説明をし、講師や訓練生からの質問(批判)に応えます*6。僕のデザインは将棋の駒で判り易かったので突っ込まれないだろうと思っていたのですが、左馬の周りに押された十二支の朱印を無視していると言われてしまいました。(T_T) だって、駒しか思いつかなかったんだもん。あと、本紙をカットした事についても、お客さんから預かったものをカットするなら、事前にデザイン上必要である事を説明し、納得してもらってから出ないとダメだと言われました*7
こうして、なんとか、訓練校の出品作品は完成しました。あとは競技大会に出す分です。(作品は、後日、表展の会場で撮影してアップしますね)

*1:昨年も最終日は雨でした。

*2:ヒバは杉と違って木目も気にならないのですが、伸び縮みに対応するため、杉の軸棒を使う時と同様に軸棒に紙を巻いておきました。

*3:風帯がある場合は軸幅から風帯1本分を引いて3で割ります。

*4:風帯がある時は風帯の外側に打ち込みます。

*5:だって、字だけで説明するの、面倒なんだもん。

*6:どんなに上手でも誉めちゃダメというのがルールです。

*7:もちろんこれは知ってます。だから、初日に予め確認しました。