表具と佛教

我々の仕事(表具)は、佛画や経典の保存、修復技術として大陸から伝わり、茶道、華道、墨蹟といった禅文化と共に独自の発展をしてきました。ですから、表具を学ぶ事は佛教を学ぶ事であり、佛教の理解なくしてはその真髄を極める事は無理と言えるでしょう。表具を含む日本の伝統文化は、佛教抜きでは語れないのです。
中でも、最も繋がりの深い禅は、「不立文字(ふりゅうもんじ)教外別伝(きょうげべつでん)」という考えが根底にありますので、文献による知識だけでは身につける事が出来ません。なぜなら、一度言葉で説明してしまうと、それはもはや禅ではなくなってしまうからです。

表具をならうというは、自己をならうなり*1

心を学ぶと言う事は日常の暮らしの中で自然に身に付けるしかありませんから、表具師の修業も一生続き、これでおしまいという事がないのです。

*1:どうやら道元禅師(曹洞宗)の「正法眼蔵」のパクリらしいです。(笑)