真宗門徒にとっての「中陰」と年回法要

以上のような事から浄土真宗では、「中陰」や「年忌法要」がしきたりとして存在する事は認めますが、仏教の思想ではありませんから教義としては認めていません。臨終と同時に阿弥陀如来の本願力により極楽浄土に往生していますので、「中陰」という期間が存在しないのです。
ですが、我々浄土真宗門徒も中陰の法事や年回法要を勤めています。そこには、しきたりだけでない理由があるんです。それは、大切な人の死を厳粛に受け止めつつ故人を偲び、人生の依り所としてお念仏の教えを聞き、阿弥陀如来の徳をたたえ、報恩感謝の誠を表すための大切な法事だからです。言ってみれば、「中陰」のしきたりを上手く利用し、浄土真宗の教えを再確認するための法要として、この中陰や年回法要を大切にしてきたのでしょう。
ですから浄土真宗の法事では、お坊さんが来てお経だけ称えてお布施を貰って帰るといった形だけの法事は行わないのが原則です。基本的には参列者全員でお経を上げ、法話聴聞するんです。最近は法事が土日祝日に集中するので、本格的な法話はお寺で月1回程度開かれる説法会で聴聞する事も多くなってきましたが、浄土真宗は聞法が基本ですから簡単なお話は必ずあります。と言っても、お寺さんによっては「御文章」の拝読のみの場合もあるようですが……。まあこれが本音と建前ってヤツですね。(笑)