制作開始

なんとか方針が決まったので、いよいよ作品の制作にかかります。

寸法出し

ここからは電卓の出番です。本紙の上下の余白を可能な限り落としたとして、4尺3寸ですから、残りが2尺3寸。京表具の比率で上が1尺4寸ほど、下を8寸ほどにすればさらに仕上がり寸法が1寸縮まって良い感じになりました。柱は2寸くらいにするとバランスも良さそうです。この計算に従って紙に寸法書きを入れた完成予想図を書いてみました。

裂の選定

様式と寸法が決まったので次は裂の選定です。合戦があったのは旧暦の長月(9月)ですから季節は晩秋です。9月10日*1の未明、川霧に包まれた真っ暗な千曲川を粛々と渡る上杉軍をイメージして、中廻しは雲に近い川波の模様にする事にしました。色目は晩秋の夜明け前ということで濃い茶色系です。

裂取り

使う裂が決まったので、寸法書きに従って裂取りをします。今回は寸法を先に決めたので、裂は柄合わせをするために少し贅沢に使う事になりました*2

縮(ちぢみ)

中廻しの柱と上下、一文字と風帯の金襴、上下と風帯裏の無地の裂を寸法書きに従って裁断したら、縮(ちぢみ)*3をかけるために全体に霧を吹いて湿らします

今日はこのあと出掛けるので縮をかけた状態で一晩放置。明日は裂の肌裏打です。

*1:10日ですから月は午前2時過ぎに沈んでいます。

*2:本紙の大きさに幅を持たせ、柄のパターンにあわせて本紙の大きさを調節する事もあります。

*3:表具用の裂は衣料品の布と違い、糸に縒りがかかっていないため、濡らして縮めてやる必要があります。